皆さんこんにちは。野末です。

このAI時代、様々な期待や不安が渦巻いていますね。例えばある職業は無くなり、ある職業は今後どんどん伸びていくなど。

そんな期待と不安が交錯しがちな時代ではありますが、最近になって大きな期待を感じさせることがありましたので、今回はその内容をシェアしていきたいと思います。

「分身AI」が商品になる時代がやってきた

先日、ある著名な方のオンラインセミナーを受講していたときのことです。

その方は、自身の知識や経験、考え方を反映させた「分身AI」を開発し、商品として販売しているという話をされていました。

私はその話を聞いて、非常に大きな可能性を感じました。

「なるほど。これからは、人間が長年培ってきた知識や経験そのものが、AIという商品になっていくのか」

これまで、専門家の知識や経験を商品にする方法といえば、書籍の出版、講演、コンサルティング、オンライン講座などが代表的でした。

しかし、分身AIであれば、利用者が自分の疑問を直接質問し、その専門家の知識や考え方をもとにした回答を、必要なときに得られる可能性があります。

もちろん、本人の判断や能力を完全に再現できるわけではありません。

それでも、専門家が一人ひとりに対応しなくても、蓄積された知識を多くの人に届けられる。

これは、知識や経験の商品化という意味で、大きな変化ではないでしょうか。

AIを作り、改善することまでAIが担う?

そんなことを考えていた折、別のニュースレターで、米国企業Sierraの取り組みを知りました。

そこでは、AIエージェントの構築や改善にAIを活用するという方向性が紹介されていました。

私は、この話と先ほどの分身AIが、頭の中でつながったのです。

もし、個人の知識や経験をAIとして再現する技術が発展し、さらにAIの構築や改善まで自動化が進んだら、どうなるでしょうか。

今後は、専門知識を持つ人が必ずしも高度なプログラミング技術を習得しなくても、自分の知識を活用したAIサービスを提供できるようになるかもしれません。

そして、この流れはホワイトカラーの仕事だけにとどまらないはずです。

私が特に可能性を感じたのは、建設業や製造業など、熟練技術の継承が課題となっている分野でした。

熟練職人の技術を「会社の資産」にできないか

例えば、製造業の現場を考えてみます。

長年同じ機械を扱ってきた熟練者は、機械から発せられるわずかな異音や振動の変化によって、不具合の兆候を察知することがあります。

建設業でも、材料の状態や作業環境を見て、経験豊富な職人が適切な判断を下す場面は少なくないでしょう。

ところが、こうした技術には大きな問題があります。

本人は当たり前のようにできていても、その判断基準を他人に説明することが難しい場合があるのです。

「何となく違う」「長年やっていれば分かる」

こうした感覚的な説明だけでは、若手への技術継承は容易ではありません。

そして、熟練者が退職してしまえば、その人が長年積み上げてきた知識や判断基準まで失われる可能性があります。

そこで考えたいのが、動画や文章、作業記録などを活用した技術の可視化です。

例えば、熟練者の作業を動画で撮影する。

作業中に何を見て、何を判断しているのかを本人に説明してもらう。

失敗しやすい工程や、異常が発生した際の対応方法を記録する。

さらに、それらの情報を整理してAIに参照させれば、若手社員が疑問を感じた際に、社内に蓄積された知識をもとに回答を得られる仕組みが考えられます。

もちろん、映像や文章だけで熟練技能のすべてを再現できるわけではありません。実技訓練や安全確認、人間による最終判断は引き続き必要です。

しかし、これまで個人の頭の中に眠っていた知識を、組織として共有できるようになることには大きな意味があります。

そして重要なのは、最初から高額なAIシステムを導入する必要はないということです。

動画マニュアルを作る。作業手順を文章にする。ベテラン社員の判断基準を記録する。

まずは、こうした地道な取り組みから始めればよいのではないでしょうか。

技術継承だけでなく、新たな収益源にもなる可能性

さらに、この仕組みを発展させれば、技術継承以外の可能性も見えてきます。

例えば、ある企業が長年培ってきた独自の加工技術や品質管理のノウハウを体系化し、他社向けの教育サービスとして提供する。

あるいは、特定の業務に関する専門知識をAIに蓄積し、利用契約に基づいて外部企業へ提供する。

これまで自社の業務にしか使っていなかった知識や経験が、新しい収益源になるかもしれません。

もちろん、企業秘密や個人情報の管理、技術を提供した従業員との権利関係など、整理すべき問題はあります。

機密性の高い情報については、社内環境で稼働するローカルAIなども選択肢になり得ますが、それだけで情報流出を完全に防げるわけではありません。

それでも、知識や技術を単に消費するのではなく、蓄積し、再利用し、必要に応じて事業化するという考え方は、今後の中小企業にとって重要になると感じています。

一方で、AIが企業間格差を拡大させる懸念もある

ここまで考えると、AIの進化には大きな期待を抱かずにはいられません。

しかし、私は同時に、ある懸念も感じました。

それは、AIを活用できる企業と、そうでない企業との間で、競争力の格差がさらに広がってしまうのではないかということです。

資本力のある企業は、高性能なAIを導入し、専門人材を確保し、大量のデータを蓄積できます。

その結果、より優れたAIを開発・改善し、さらに競争力を高めていく。

一方で、資金や人材に余裕のない中小企業は、こうした取り組みを十分に進められない可能性があります。

もちろん、AIの低価格化やオープンソース技術の普及によって、小規模企業でも高度な技術を利用しやすくなる可能性はあります。

それでも、技術を導入する費用だけでなく、データを整理する人材や運用体制の有無が、新たな格差を生むことは考えられます。

私が特に懸念するのは、経済的な競争に敗れた結果、本来なら次世代に残す価値のある技術や知識まで失われてしまうことです。

長年培われてきた地域産業の技術や、小規模な事業者だからこそ持っている独自のノウハウ。

そうしたものが、単に資本力の差によって消えてしまうとしたら、それは社会全体にとっても損失ではないでしょうか。

知識や能力がコモディティ化した先に何が残るのか

そして、もう一つ考えさせられたことがあります。

それは、知識やスキル、能力そのものの価値が、今後どのように変化していくのかという問題です。

これまでは、特定の知識や技能を持っていること自体が、大きな競争優位になっていました。

しかし、AIによって同じような知識や判断を多くの人が利用できるようになれば、その希少性は低下するかもしれません。

もちろん、身体を使う高度な技能や、現場での臨機応変な対応まで、簡単に代替されるとは考えていません。

それでも、知識や能力の一部がコモディティ化していく可能性は十分にあるでしょう。

そうなったとき、企業や個人は何によって選ばれるのでしょうか。

私は、ここで改めて、人間性や倫理観の重要性が問われるのではないかと考えています。

例えば、AIを使えば利益を最大化できるとしても、その過程で従業員の尊厳が損なわれるのであれば、それは望ましい経営と言えるのでしょうか。

効率化によって不要になった業務があったとしても、そこで働いてきた人の経験や能力まで、無価値になったと考えてよいのでしょうか。

何を効率化し、何を残すのか。

誰のためにAIを使い、その成果をどのように分配するのか。

こうした判断は、単なる技術の問題ではなく、経営者自身の価値観に関わる問題だと思うのです。

中小企業が今から始められること

AIの進化を前にすると、何か大きな投資をしなければならないように感じるかもしれません。

しかし、私は必ずしもそうではないと思っています。

まず取り組むべきなのは、自社の中にどのような知識や技術が存在しているのかを把握することではないでしょうか。

特定の従業員しかできない仕事はないか。

ベテラン社員が退職したら困る工程はないか。

新人教育で、毎回同じ説明を繰り返している業務はないか。

こうした問題を一つずつ洗い出し、動画や文章などで可視化する。

そのうえで、AIを使うことで効果が見込める部分があれば、段階的に導入を検討する。

これなら、大きな予算を確保できない企業でも、少しずつ取り組むことができます。

AIを導入することが目的なのではありません。自社が持つ価値を見つけ、それを次の世代へ残し、さらに発展させることが目的なのです。

流行りだから、何となく使わないと遅れそうだから使うのではなく、目的に応じで必要だから使うという考えこそが重要です。

分身AIの商品化と、AIによるAI構築・改善という二つの話に触れたことで、私は技術継承の未来に大きな可能性を感じました。

同時に、その未来を一部の資本力のある企業だけが享受する社会にしてよいのか、という疑問も抱きました。

これからの経営には、AIを使いこなす力だけでなく、何を守り、何を変え、何を次世代に引き継ぐべきかを見極める力が必要になるのではないでしょうか。

あなたの会社には、まだ言語化されていない貴重な技術や知識が眠っていませんか。

それを未来の資産に変える第一歩は、案外、身近なところから始められるのかもしれません。

あなたの会社にも、まだ見えていない資産がありませんか?

長年働いてきた熟練社員の技術、特定の担当者しか知らない業務手順、新人教育で繰り返されている説明。

それらは、まだ十分に活用されていない企業の大切な資産かもしれません。

Idealeadでは、現場で培われた知識や技術を可視化し、動画による教育や業務改善につなげる可能性を探っています。

「ベテラン社員の技術を次世代に残したい」

「新人教育の負担を減らしたい」

「自社の業務にAIを活用できる余地があるのか考えたい」

そんな課題をお持ちの中小企業の経営者・ご担当者様は、ぜひ一度お話をお聞かせください。

まずは現場の課題を整理するところから、一緒に考えてみませんか。

毎月、席数に限りはありますが、完全無料にてご活用いただけます。

お問い合わせは、Idealeadのお問い合わせフォームからお願いいたします。